前提として、以下の記事で書いたように、証券分析においては、主に投資収益率がリターンの尺度として用いられます。
■リスク証券の場合
リスク証券の説明で書いたように、リスク証券にはリスクがあり、投資収益率は確定していません。
そんなときに登場するのが投資収益率の期待値、期待投資収益率(E[R])です。
以下の例を用いながら、詳しく説明していきます。
(例)以下のようなシナリオ(確率―投資収益率の組み合わせ)をもつ証券iがあります。
証券iのシナリオ | 確率(pn) | 投資収益率(Rn,i) |
シナリオ1 | 20%(p1) | 2%(R1,i) |
シナリオ2 | 50%(p2) | 6%(R2,i) |
シナリオ3 | 30%(p3) | 8%(R3,i) |
このとき、投資収益率は2%なのか、6%なのか、はたまた8%になるのか、投資する時点ではわかりません。
しかし、投資収益率がわからないと投資に踏み切るか否かを判断できません(みなさんもいくら儲けがでるか、儲けるかどうかわからない株に投資したりしませんよね)。
そのため、「平均的にこれくらいの投資収益率が期待できる」という指標として、期待投資収益率を使用します。
証券iの期待投資収益率は以下の式で求めることができます。
よって証券iの期待投資収益率は5.8%となります。
この式を一般化すると以下のようになります。
s.t. n:証券iの収益率のとりうる値の個数(シナリオの数)
Rt,i:収益率のとりうる値のうち第t番目の投資収益率
pt:第t番目の投資収益率が実現する確率
■リスクフリー証券の場合
リスクフリー証券の特徴は、リスクがないこと、それに伴って投資収益率が投資する時点で確定していることです。
よって、証券iの期待投資収益率は以下の式で求めることができます。
s.t. Rf:証券iの投資収益率
投資収益率はRfで一定なら、期待投資収益率も同じくRfになりますよね。
■まとめ
1.証券分析では、将来の不確定なリターンを測る尺度として期待投資収益率(E[R])を用いる。
2.リスク証券 i の期待投資収益率は以下の式で求められる。
s.t. n:証券iの収益率のとりうる値の個数(シナリオの数)
Rt,i:収益率のとりうる値のうち第t番目の投資収益率
pt:第t番目の投資収益率が実現する確率
3.リスクフリー証券 i の期待投資収益率は以下の式で求められる。
s.t. Rf:証券iの投資収益率
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